僕が若かりし頃はガチョウやアヒルの羽根でシャトルを作っていたんだよね。天然ものだから羽根の大きさや種類で耐久性や打ち応えが違ったりしてね。そこも勝負の駆け引きだったりしたんだよ。
ほんとなんですね!?それ見てみたーい!!
今はどこのメーカーでも作っていないからね。今度うちにあるものを見せてあげるよ。貴重なものだから打たせてあげることはできないけどね(笑)
こんにちは。
バドミントンコーチの齋藤(@usagi02_soushi)です。
将来こんな会話が現実のものになるのかもしれません。
ミズノから人工シャトル『テックフェザー03』(公式ホームページ)が発売されました。
シャトルに使われている羽根の部分が人工的に作られています。
見た目は少し茶色っぽいですが遠目からは天然のシャトルとの見分けはつかないと思います。
実際、練習会場にそっと置いておいたところ、近くで手に取って初めて
「え!?これなんだ?」
となったくらい。
今回はこの人工シャトルを実際に打ってきましたのでレビューしていきます。
【関連記事】ミスの原因はここにあった!?シャトルコンタクトを使いわけよう
Contents
日本バドミントン協会検定合格球
人工シャトルのテックフェザー03は日本バドミントン協会検定合格球となっています。
つまり「日本バドミントン協会のお墨付き」ということです。
シャトルの検定には
- 第一種水鳥球
- 第二種水鳥球
- 合成球
- 陸鳥球
に分けておこなわれており、人工シャトルは『合成球』としての検定に合格しているということになります。
メーカー公式テクノロジー
※画像はミズノ公式ホームページより
人工シャトルは主に3つのテクノロジーがカギとなっています。
3つのテクノロジーのポイント
- 羽根の形状
- 羽根の軸
- コルク
テクノロジー詳細についてはメーカーホームページにてご確認ください。
ミズノテックフェザー03(公式ホームページ)
ちなみに価格は¥4,300+税(2020年4月現在)となっています。
実打レビュー
さていよいよ実打についてお話ししていきましょう。
メーカー公式ホームページ(こちら)にもあるように
テックフェザー03のウリとなっているのは
- 水鳥球よりも高い耐久性
- 水鳥球に近い飛行性能
この二点に集約できます。
実打レビューではこの二点を中心にみていきます。
ラリーに耐える耐久性
気になるのは耐久性です。
メーカー数値では水鳥球に比べ、208%の耐久性
つまり、2倍の耐久力がありますよ。
ということです。
耐久性は水鳥球に比べて圧倒的に高いです!
ただし!
これには条件があります。
『繰り返し打ち続けることに対しての耐久性』という意味合いにおいてです。
強打に耐える耐久性とは異なるということが重要なポイントとなります。
水鳥球との大きな違いとなるのが羽根の先からポロポロと壊れることが無いということです。
そうすると壊れ方のパターンは主に2つです。
- 軸が折れる
- コルク部分からへたれる
繰り返し打ち続ける中での壊れ方は②のコルクの付け根部分からヘタれてくる壊れ方です。
この壊れ方については208%を感じることができます。
軸で折れるというのは、フレームショット等で発生します。
ラケットのフレーム部分が軸に当たってしまうと『バキッ』と折れてしまいます。
また男子のアタッカーのフルスイング時には軸折れのリスクが高まります。
フレームショットやアタッカーのフルスイングに関しては水鳥球でも同様ですので水鳥球より劣るということにはならないと言えるでしょう。
【参考記事】ラリー力を高める強化練習!3つのポイント
飛行性能
水鳥球に近い飛行性能
これについての結論は
『今までの人工シャトルで一番水鳥球に近い』
そして
『水鳥球に近い感覚でコントロールできる』
ということです。
メーカー公式HPにもあるように、水鳥球より少しスピードが出ます。
シャトルの速度が上がれば上がるほどにその速度の差が大きく現れます。
つまり、スマッシュが速ければ速いほど水鳥球との違いが出やすくなるということです。
ドロップやスライスショットでは今までのナイロン製シャトルとは異なり水鳥球に近い飛行になっています。
ネット際へのレシーブやヘアピンは少し感覚が違いますが許容範囲と感じます。
大きく異なるのが打球音です。
水鳥球に比べ、甲高く大きな音がするため、ガットが切れたのでは!?と感じることもあります。
【参考記事】バドミントンのコントロールを決める3要素
他の人の感想から
一般上級者~ジュニアの初級クラスまで色々な人に打ってもらいヒアリングをしたものをまとめます。
ショットの違和感は個人差がある
どのショットが打ちやすく、どのショットに違和感を感じるかというのは個人差があります。
クリアーが打ちにくい、という人もいればドロップが打ちにくかったと感じる人もいました。
自身の得意不得意に大きく影響を受けているためと考えられます。
レベルによって違和感は異なる
レベルごとに見ていくと
- 上級クラス・・・水鳥とは違うがコントロールできる
- 中級クラス・・・水鳥との違和感を感じコントロールしにくい
- 初級クラス・・・特に気にならない
このような感想が聞かれました。
結果的には、中級クラスと上級クラスの間にはシャトルに合わせてコントロールするというレベルに大きな差があるものと思われます。
そのため、一定の力を越えたスマッシュ以外についてはシャトルをコントロールできる選手であればコントロールして打てるということですね。
【参考記事】ミスの原因と対策はこれ!2/3コントロールを練習しよう
人工シャトルの課題
実際に人工シャトル「テックフェザー03」を実際に打ち、また他の打った人たちの感想も踏まえ見えてきた課題は2つです。
- 強打に耐える耐久性
- 減速度
強打に耐える耐久性
課題の一つ目は「耐久性」です。
ラリーに耐える耐久性ではなく、「強打」に耐える耐久性です。
たとえば、少し浅く上がったシャトルに対して全力でスマッシュを打った際にシャトルが壊れてしまうと、
相手はほぼ反応できません。
また、ものすごい速さで飛んでいくため怪我のリスクも否定できません。
ラリーに対しての耐久性は高まっているので、強打に対しての耐久性が高まることで
シャトル代を抑えることにもつながればより良いですよね!
【参考記事】コンパクトで強い球を打つために!レベルアップの方法
減速度
手元でのスピード差が水鳥球に近づいてきているものの、この点については水鳥球同等レベルになってほしいと個人的に感じます。
特に男子選手はスマッシュを打ったもん勝ちのような試合になってしまうと
なかなか人工シャトルへの移行が進まないのではないでしょうか。
【参考記事】オーバーヘッドストロークで緩急をつける練習方法とそのポイントを解説
【結論】人工シャトル使うべき
今回、人工シャトルについて率直な意見も含めて書かせていただきました。
結論としては『人工シャトルは使うべき』ということです。
ただし!水鳥球を使いながら部分的にということです。
その理由は二つ
- いつか人工シャトルに変わる
- コストパフォーマンスに優れている
昔はラケットが木製だった、昔はラリーポイントではなくサイドアウト制だったと
今の人たちに言っても信じられないようにいずれは人工シャトルに変わっていくのだと思います。
その転換期がいつになるかはわかりませんが、ミズノ以外のメーカーが参入し品質向上してくれば遠い未来ではないのかもしれません。
その時のためにも人工シャトルを練習に入れていき準備をしていってよいと考えています。
ラリーに耐える耐久性が高いというメリットを活かし、
半面シングルスやパターン練習など部分的に人工シャトルを取り入れていくことでシャトル代を抑える効果が期待できます。
明らかに水鳥球と感覚が違うとなるとなかなか練習で使うのは勇気がいりますが、
ここまで水鳥球のコントロール感覚に近づいてきていることを考えると水鳥球と人工シャトルを組み合わせて練習メニューを組んでいくことも選択肢にあがってきます。
いかがだったでしょうか。
いよいよシャトルも新しい時代が近づいてきていることは予感させます。
どのように活用していくかということ、そしてバドミントン界の状勢がどのようになっていくのかということを考えていく必要性を感じますね。
「バドミントンは人生そのもの」
昔はシャトルを本物の鳥の羽根を使って作ってたってほんとですか!?